それは小豆島で起きていた。舟に乗り、瀬戸内の海を渡る醤油の現場へ

2016.03.30
それは小豆島で起きていた。舟に乗り、瀬戸内の海を渡る醤油の現場へ

こんにちは、ジモココ編集長・まつこです。もう3月も終わりなのに、まだまだ暖かくならない東京に耐えかねてこんなところまでやって来ました!

それは小豆島で起きていた。舟に乗り、瀬戸内の海を渡る醤油の現場へ

高松市・玉藻公園(たまもこうえん)

玉藻公園と言えば高松城、高松城のある場所といえば、そう「香川県」です! ただし今回は、ここから更に船に乗って「小豆島」まで向かいます。名作『二十四の瞳』や国産オリーブ栽培で有名な小豆島まではフェリーで約1時間かかりますが、高速船なら約35分ほどで行くことができます。

それは小豆島で起きていた。舟に乗り、瀬戸内の海を渡る醤油の現場へ

高松築港で乗船券を購入して、高速船に揺られ小豆島・土庄港まで運ばれる私。余談ですが、船酔いしやすい事を友人に告げると「男と酒には酔わないのに、船には酔うんだね♪」と言われたので、小豆島では男と酒で失敗してみようと思います。

ところで、船で運ばれるのはだけではありません。実は小豆島には昔から、舟を使って瀬戸内の島々へ運ばれるものがあるのだそう。

小豆島から瀬戸内の島々へ運ばれるもの

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小豆島へ運ばれた私が、小豆島から運ばれるものを探してやってきたのは土庄町大部地区。小豆島の玄関口・土庄港から車で沿岸を30分、懐かしい雰囲気の焼き板づくりの家屋が立ち並ぶのどかな地域です。そんな海沿いの地域で小豆島ならではの醤油づくりをしている蔵「やまひら醤油」を訪れました。

なるほど。小豆島から運ばれるもの、それは「お醤油」だったんですね!

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「やまひら醤油」で日々美味しい醤油造りに奮闘する、4代目・山口和久さんにお話を伺いました。にこやかな笑顔と甘いフェイスは、土庄町のマダム方に人気なこと間違いなしです!

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蔵の外でもお醤油のいい香りが立ち込めていましたが、暖簾をくぐるとさらに押し寄せるような濃い香り! そして店頭にある販売スペースの先には早速醤油の醸造蔵が広がります。

「小豆島にはかつて400軒近い数の醤油蔵があったそうですが、今ではその数も減って20軒ほど。その当時は醤油蔵で技術を切磋琢磨して競い合い、それぞれの蔵で独自の製法を作り出しました。おかげで島内でも醤油の味比べができるほどです」と山口さん。

残っている醤油蔵の多くが小豆島の南東側にありますが、北側の土庄町や大部地域にも「やまひら醤油」など数軒が醤油づくりを続けています。

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「明治38年に初代・山口平太郎が醤油蔵を始めたきっかけは、平太郎の妻の実家が小豆島の醤油蔵だったからと言われています。小豆島にはたくさんの醤油蔵がありますが、やまひら醤油は規模としては小さい方ですね。それでも年間65キロリットルほど製造しています」。

蔵にある巨大な杉桶は高さ3mほどで、その容量は30石(約5500リットル!)にもなるのだとか。蔵を始めた当時から同じ杉桶を使っているので、その年季は100年以上!丈夫に作られているのはもちろん、洗剤などを使わない日々の手入れのたまものです。それでも劣化は避けられないのですが、現代では巨大な杉桶を修理できる職人が希少なため、なかなか修理もできないのだそう。

100年の巨大な杉樽で仕込む現場へ

先の写真の左側に、細い階段があったのに気づきましたか? 大桶に大豆・麦・塩を発酵させて作る醤油づくりの日々の作業は、主にこの階段の上で行われています。

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「どうぞどうぞ」と山口さんに誘われて、恐る恐る杉樽の上へ。いくつもの杉桶の上に板が張られた作業場を上がり、桶と桶の間をそろそろと歩くスペースは、まるでゲームの落とし穴のよう。「穴に落ちたことですか、いや〜ないですね」と山口さんは話しますが、きっとお醤油の海に溺れかけた職人は少なくないはず。

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毎日複数回、櫂棒(かいぼう・桶仕込み専用の棒)を使って桶の中のもろみをかき混ぜます。まだ発酵が進んでいない固形のもろみに、2m以上もある櫂棒を押し込む作業を山口さんは軽々とやってのけていますが、実際はかなりの重労働。体験させていただくと、片手はおろか、ぐっと踏ん張りながら両手で押し込んでようやく奥まで沈められる程度。ここからかき混ぜて…となると、考えただけで腰が痛くなりそうです。

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杉桶の中で発酵・熟成が進むと、8ヶ月程で水分の多い味噌のような状態へ、更に1年半をかけて私たちが普段目にするお醤油色の液状になります。これから暖かい時期を迎えると発酵がどんどん進み、桶からポコポコと気泡が立つ音が聞こえてくるんだそうです。

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圧搾機に何十ももろみを重ねて、じっくり圧搾します

熟成させたもろみを専用の布にくるんで圧搾機にかけ絞り出したものが「生醤油(きじょうゆ)」です。一般に販売するお醤油は、ここから火入れを行い微生物の活動を止めます。生醤油のままでは、発酵が進んでフタが飛んでしまうことも!

企業やお店とのコラボも!

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こうしてできたやまひら醤油のお醤油は、そのままはもちろん、かつお節や昆布の旨味を加えた「だし醤油」、高知県産柚子果汁などを加えた「柚子ぽんず」、お野菜に添えたら絶品の「もろみ」などでも販売されています。

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「『ぶっかけ黒ごま醤油』は小豆島が発祥のかどや製油株式会社から、ゴマで何か作れないかと持ちかけられたのがきっかけです。『ぶっかけ醤油』も、製麺所から依頼を受けて作ったものなんですよ」。

地場の小さな蔵ならではのフットワークの軽さもあり、地域のあらゆる企業や生産者から新商品の依頼を受けるそう。そのためか、やまひら醤油は小豆島内でも商品のバリエーションが多いと言われます。

港で作る醤油を舟で運ぶ

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全身醤油の香りに包まれてすっかり満足していましたが、当初の目的「舟で醤油を運ぶ現場」を見ずには終われません! かつてはいくつもの醤油蔵が舟で瀬戸内の島々を周り醤油を届けていたそうですが、今でも定期的に島を回っているのは「やまひら醤油」だけ。3ヶ月に1度、やまひら醤油の先代が目の前の港から島々へ運んでいます。

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瀬戸内の地域では、同じ蔵のお醤油を代々使い続けている家庭が多く、配送先の中にはやまひら醤油のご常連歴100年のお宅もあるのだそう。それだけお醤油にこだわり、家庭の味に染み付いているからこそ、舟で小さな島々を回ることが必要とされてきました。

今回は残念ながら醤油を運ぶ様子を見ることはできませんでしたが、瀬戸内の島民の食生活を支える大事な風習は今でも続いています。

大部は小さな醤油のまち

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土庄町大部地域には、今回ご紹介した「やまひら醤油」以外にも2軒の醤油蔵があります。やまひら醤油の並びにある「フジダイ醤油」もかつては瀬戸内の離島・家島に醤油を届けていたそう。60年前には家島に出張所をつくり、そこでフジダイ醤油の販売もするようになりました。

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梁に酵母がびっしりとついた醤油蔵で作られるお醤油は、一般のスーパーで販売されているお醤油よりも少し甘みが強く、煮付けなどに良く合います。

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小豆島で最も古い醤油蔵のひとつとも言われる「ヤマトイチ醤油」も大部にあります。今では販売の拠点を備前市に移していますが、現在も蔵の一部を利用したカフェ「カフェギャラリー 蔵」を週末にオープンしています。

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かつて醤油の運搬に使っていた杉樽が店前にずらりと並ぶカフェは、港からフェリーの出港を待つ人や、不定期で開催されるイベントの際にも多くの方が訪れるそうです。

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土庄町ののどかな港町でみつけた大部の醤油蔵。小豆島の玄関口・土庄港からは少し離れていますが、のんびりした空気と、小豆島に根付いた醤油の歴史と味が染み付いています。

PR:香川県土庄町

やまひら醤油

住所: 香川県小豆郡土庄町大部甲3260
電話番号: 0120-47-6767
公式サイト :http://www.yamahira-soy.com/

フジダイ醤油

住所:香川県小豆郡土庄町大部甲3145-2
電話番号: 0879-67-2571
公式サイト: http://hujidaishoyu-is.lomo.jp/

ヤマトイチ醤油

住所:香川県小豆郡土庄町大部3273
電話番号: 0879-67-2057
公式サイト: http://www.yamatoichi.com/

まつこ
おんせん県(大分県)生まれ。 好きな大分料理は「吉野鶏めし」、もちろん冷蔵庫に「かぼす胡椒」は欠かせない。現在は、持ち前の酒飲み女っぷりを発揮し、東京の飲み屋をさまよう日々。

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