庶民の味方。城北信用金庫は、いかにして下町のヒーローになったか

TRiP EDiTOR編集部
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2017/09/21

無料で繁盛店にします~信金の非金融サービスとは?

トップとなった大前は、信用金庫らしからぬ部署を作った。それが非金融部門だ。

入庫5年目の越野理惠は、あるプロジェクトを任されている。NACORD(ナコード)というサイトの制作だ。

城北信金のトップページからNACORDに入ると宣伝画面が盛りだくさん。越野たちが取引先の企業を取材し、作ったものだ。企業と消費者をつなぐから「仲人」と命名した。

今回、新規で取材するのは埼玉県八潮市にある洋菓子店「る・菓壇」。様々な種類の生菓子やケーキで地元の人達に愛されてきたが、オーナーパティシエの鈴木宏太郎さんはさらに売上を増やすべく、NACORDへの掲載を依頼してきた。

早速、取材開始。撮影はプロの元で腕を磨いた城北信金の職員。ライター役の職員もいる。鈴木さんのイチ押しは写真などを転写するケーキ。そのこだわりを越野が引き出していく。こうした取材を経て、美味しそうなページが出来上がる。制作費掲載料は無料だ。

「単純に売上げが上がる一助になればいいと思いますし、ビジネスの奥深いお話が聞けるので、次の金融サービスにつなげていけたらいいなと思います」(越野)

さらにNACORDには重要な役割がある。東京荒川区の印刷加工会社、バックストリートファクトリーはNACORDを使って新たなビジネスを展開した。

手掛けるのは、レーザーで紙を正確にカットして作る様々な商品。いわばハイテクの切り絵だ。NACORDを使って始めたのはクラウドファンディング。クラウドファンディングとは不特定多数の人から資金を募るインターネットのお金集めだ。

まず事業内容と目標金額を発表。集まったお金が目標に達すれば事業成立。出資者は商品などの見返りがもらえる。目標額に届かない時は事業不成立でお金は出資者に戻される。城北信金がやっているのは、出資イコール商品購入となる先行予約のような形。これなら企業は在庫を抱えるリスクがない。ネット大手と手を組んでスタートさせた。


「バックストリートファクトリー」は目標額32万円に対し、62万円を集めて達成。新しい商品作りをスタートさせることができた。作ったのは「イルミネーションチャペル」(2678円)。組み立ててライトを入れると星型の光が輝いた。

さらに今回、NACORDを利用してビジネスが広がったと言う。

「ネット経由でこれを見た会社から、『オリジナルの商品を作りたい』という注文もくるようになりました」(「バックストリートファクトリー」の臼井基樹社長)

注文してきたのは、あのドライビング・シューズのメーカー「マルミツ」。NACORDを見て靴箱の加工を依頼してきたのだ。

城北信金の「非金融の取り組みは企業と企業も結びつけている。 

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