東京から南へ3時間の離島「式根島」は、知る人ぞ知る温泉パラダイス

2016.09.07
松が下雅湯208

日本人の温泉好きといえば、もはや国民性とも呼ぶべきもの。中には秘湯好きを名乗る人も少なくなく、秘湯愛好家たちによる「日本秘湯を守る会」なるものの存在も広く知られます。と言っても最近では秘湯とは名ばかりで、「なんだ、交通のアクセス抜群じゃない」とか「秘湯というか、いたれりつくせりのリゾートですか?」という温泉も。秘湯というと、スコップを担いで雪山を何キロも歩いてようやくたどり着くような通好みの温泉や、鹿や猿が入浴に訪れるような野湯を思い浮かべますが、そんな温泉ってあるようで実はそんなにたくさんはないですよね。あったとしても、現実的にそこまで辿り着くのが大変すぎる、という現実も。ところが、そんな野趣あふれる温泉願望を簡単に叶えてくれる場所があるのをご存知でしょうか? しかも東京都に!

ワイルドさでは右に出るものなし?! ダイナミックに体験したい天然岩風呂温泉

伊豆諸島の、東京から数えて4つ目の島となる式根島は、実は知る人ぞ知る温泉天国。野趣という点ではあふれすぎと言っても過言ではない天然ナチュラルな野湯を楽しむことができる場所なのです。

足地山から式根島港の眺め【式根島観光協会提供】

温泉が湧きいでるのは、島の南側。抜群の透明度と青い海がフォトジェニックな石白川海水浴場よりも西へ向かったあたりの沿岸に点在します。式根島で最も野趣あふれるのが、別名内科の湯と呼ばれる「地鉈温泉」

これが地鉈温泉!【式根島観光協会提供】

その名のとおり、大地を鉈で割ったような岩場の海岸に湧き出すダイナミックな温泉で、ワイルドな風情が魅力。泉質は硫化鉄泉というこの温泉は、成分に含まれる鉄分で湯が濃い赤色をしているのが特徴で、源泉は80度とかなり高温です。そのため、温泉に入るには潮が満ち海水によってちょうどいい温度となった頃合いを見測る必要があり、間違えて干潮時になどいってしまうと、うっかり熱湯に足をつっこんでしまわないか歩く足場にも困るはめに。ちなみに、この「地鉈温泉」は、温泉評論家として知られる野口冬人氏にして、露天風呂番付の東の張出横綱に番付されています。

野湯には憧れるけれど、そこまでワイルドさを求めないという人は、「足付温泉」へ。

足付温泉【式根島観光協会提供】

式根島で唯一無職透明のお湯を楽しめるここは、切り傷、おでき、水虫、アトピー皮膚炎に効能がある別名「外科の湯」と呼ばれる温泉。

泉質は炭酸泉で湯温は55度。まわりを囲む岩礁には松の樹が生息し、優美な気分にひたりながら天然のナチュラル温泉での湯浴みを楽しむことができます。といっても、こちらの「足付温泉」もまた、潮の満ち引きによってちょうどいい湯温のころを選んで入る必要があるので、滞在中は潮見表が手放せないかもしれません。

そんな潮の満ち引きとか考えず、入りたいときに温泉に入りたいという人には「松が下 雅湯」がおすすめです。

松が下雅湯【式根島観光協会提供】

こちらは、潮の満ち引きに関係なく24時間いつでも温泉を楽しめるようにと作られた公共の露天温泉施設。「地鉈温泉」の源泉がひかれ、駐車場のほか更衣室やトイレも完備。夜になれば、海風に吹かれ、星空を眺めながら温泉を楽しむことができるというとっても贅沢な施設です。

夜は星空の下で温泉につかる【式根島観光協会提供】

ちなみに、上記の3つの温泉はすべて無料。いくら公共の野湯といっても500円くらいはお金を取られるのが当たり前のこの時代に、1円もお金を払うことなくこんな本格派温泉三昧ができるとは、式根島の太っ腹さ加減には驚かされますね! それぞれに野趣たっぷりな温泉ですが、公共の空間に位置するため水着の着用が義務付けられていることをお忘れなく。

どうしても素っ裸になって温泉に入りたいという人は、島人の憩いの場として作られた屋内温泉施設「憩の家」へ。こちらでは、大人200円、子ども100円で温泉入浴ができます。

小林繭
東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。沖縄、ハワイ、島、旅モノやロハスネタを発信中。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。

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