店主がツッコミ待ち。「かぶりもの」で買い物客をもてなす大阪の「笑」店街

2018.01.17

週末の来客激減を食い止めたい!

そもそも、なぜ商店街おこしをしようと思われたのでしょう。

 

白石「理由のひとつは『週末のお客さんを増やしたい』という想いからです。意外に思われるかもしれませんが、商店街の多くは土日が閑散とします。なぜかですか? 週末はお客さんがレジャーとして大型ショッピングモールへ向かってしまうからなんです。日曜日を定休日にしている商店街もあるんですよ。そして週末にお客さんが来ないと、店主さんたちのモチベーションが下がるんです。商店街のシャッター通り化は、人口の減少や後継者の不足などさまざまな原因はあるのですが、要は『やりがいがなくなる』という点に尽きます」

 

商店街に活気がなくなると「うちもやめよう」と閉店が連鎖する。それがシャッター通り化の現実。白石さんが土居のこの場所へ拠点を置いたときは、例にもれずシャッター通り化が進行し、寂しい雰囲気が漂っていたのだそう。「当時はひどかった」。白石さんはそう振り返ります。

 

ヒントは「コスプレイベント」と「ハロウイン」

では、なぜ「かぶりもの」だったのでしょう。

 

白石「以前、商店街にある守居神社の境内でコスプレイベントを開いたんです。すると大阪のみならず全国からお客さんがやってきて盛況となりました。また、その頃からハロウインが日本の暮らしに定着しはじめ、“変装という文化”が根づきつつあると感じたんです。とはいえ、たいそうなコスチュームをつくるわけにはいかない。低予算で、ご高齢の店主さんにもお願いできて、継続可能な企画はないか……と考え、“かぶりもの”に至りました

 

お金をかけず、誰にでもできる“かぶりもの”。そこに鉱脈を見だした白石さんは店主さんたちに「強制ではありません。ご協力いただけるなら」と声をかけ、企画をスタートさせました。

 

白石「『週に1時間、やりたい方は、かぶりものをしてください』って、僕らが“よそもん”だから言いだせたことです。商店街がそれぞれ決議をして全員参加が必須だと、とうてい企画は通らないし、5つの商店街が一斉に始めるなんてことも無理だったと思います」

 

活気が噂となり若者が開業しはじめた

立地はつながっていても組織はつながっていない連合型商店街。それゆえ大きな動きを起こせないジレンマを、おそらく日本中の多くの商店会は抱えているでしょう。白石さんのような第三者からの視点と、自由参加という呼びかけ。そして多額の予算を必要としないアイデア。小さな土居の街で「かぶりもの」という、シャッター通り化を食い止めるモデルケースとなるかもしれない動きがいま起きていました。

 

白石「始まったばかりで、まだ金額的な効果を語れる段階ではありません。でも『かぶりもの笑店街』をやってみて、目に見えて新たな入店が増えました。若い商店主たちが『活気があるなあ。しがらみもなさそうやし、ここなら店を開いても大丈夫だろう』と新たに参入してきてくれている。シャッターを閉めているお店、いまはほとんどないんです。商店街の復興って、お店を開けてもらうこと、やはりそこからだと思うんです」

 

かぶりものの恥ずかしさで頬を赤らめながらもお客さんとの会話を楽しむ商店主さんたち。笑顔が溢れる商店街は、やはり再び訪れたくなるもの。ここがうまくいけば、全国に笑顔の絶えない「笑店街」はもっと増えることでしょう。

 

ドイノミクスStudio – 土居情報発信ステーション

http://doistation.blog.fc2.com/

 

土居地区商店会連合会

http://www.mydoi5.com/

吉村 智樹
京都在住の放送作家兼フリーライター。街歩きと路上観察をライフワークとし、街で撮ったヘンな看板などを集めた関西版VOW三部作(宝島社)を上梓。新刊は『恐怖電視台』(竹書房)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)。テレビは『LIFE夢のカタチ』(朝日放送)『京都浪漫』(KB京都/BS11)『おとなの秘密基地』(テレビ愛知)に参加。まぐまぐにて「まぬけもの中毒」というメールマガジンをほぼ日刊で発行している(購読無料)。

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