玉ねぎで島を盛り上げたい。淡路島の「おっタマげ」な活動が話題

2017.12.06

「たまねぎキャッチャー」がSNSで話題に

そうして誕生した玉ねぎのハンバーガーが、彼らにさらなる攻めの姿勢をもたらしたのです。

 

宮地「淡路島の人たちはみんな、やわらかくて甘い地産の玉ねぎを誇りに思っています。けれども、たとえば全国の大学生たちがレジャーで淡路島へやってきて、果たしておみやげに玉ねぎを買って帰るか? というと、それはなかったんです。重いですしね。ところがハンバーガーという形にすることで玉ねぎに親しんでもらえた。それが新たな発見でした。ならば『もっと玉ねぎでいけるんじゃないか?』と考えたんです」

 

そこで起ち上げたプロジェクトが「おっタマげ!淡路島」「たまねぎキャッチャー」「玉ねぎのかつら」、たまねぎのソフトクリーム「おっタマげ!ソフト(ハード?)」がその皮切りとなりました。「たまねぎキャッチャー」はひと玉を掴むことができれば、景品として玉ねぎ約1.5キロ(およそ税別500円分)がプレゼントされます

 

「たまねぎキャッチャー」で玉ねぎをつかみ取るとおよそ1.2キロ(500円分相当)の玉ねぎがもらえる

「たまねぎキャッチャー」で玉ねぎをつかみ取ると、およそ1.5キロ(500円分相当)の玉ねぎがもらえる

 

宮地「クレーンゲームにしたのは『玉ねぎは、おみやげにもなる』ことを広く知ってもらいたかったからなんです。あくまで淡路島の玉ねぎのおいしさを知ってほしくて始めたもので、決して射幸心をあおってこれで儲けようという企画ではありません。つかみやすいようにクレーンを改良し、玉ねぎの位置もスタッフが取りやすい場所に適時変えています」

 

野菜をみやげとして購入する。確かに自分が旅先でそれをするかと自問すれば、ぶっちゃけ「しないだろうな」と思います。しかしゲーム性が加わることで試してみたい気持ちが湧きあがりました。事実、設置以降なんと21万回以上もの稼働があり、およそ2万5000個の玉ねぎが景品として全国へ運ばれていったのです。

 

宮地「今だから言えますが、当初は話題になる自信はありませんでした。『こんなもの成功するはずがない』という声もあったんです。社長が『失敗してもいい。よくわからんけど、まずやってみい』と背中を押してくれなかったら、実現しませんでした。ところが意外と早く火がついたんです。Twitterでの投稿がたちまち1万リツイートされ、それをご覧になった方がまた来店してくださる。SNSによっていい循環が生まれました」

クリスマスには、同社が営む「道の駅うずしお」に、およそ1000個の玉ねぎを使ったクリスマスツリーが飾られる

クリスマスには、同社が営む「道の駅うずしお」に、およそ1000個の玉ねぎを使ったクリスマスツリーが飾られる

2017年の年始には餅撒きならぬ「たまねぎまき」も開催された

2017年の年始には餅撒きならぬ「たまねぎまき」も開催された

 

 

観光客はその街のストーリーを求めている

TwitterやInstagramで拡散してゆく玉ねぎエンタメ情報。まだ「インスタ映え」という言葉がなかった頃にその効果を目の当たりにした若き職員たちは、時代を読む嗅覚を発揮し、ハッシュタグを作成してさらにその波に乗ってゆきました。あまたの町おこしのなかでも、ここまでSNSが功を奏した例は珍しいでしょう。

宮地「確かにSNSのおかげで南あわじへ訪れる人が増えました。でも小手先だけインスタジェニックにするだけだったら、見破られていたんじゃないかな。『なぜ自分たちは淡路島の食材にこだわるのか。なぜ玉ねぎなのか』。そこのコンテンツがちゃんと作れないと、きっと観光客は増えなかった。お客さんは単なる物珍しさではなく、その街に来ないと体験できない、偽りのないストーリーに惹かれて、ここにいらしてくださるんだと思うんです」

涙するようなどん底時代を経験し、地元の宝である玉ねぎを再評価することで復興を遂げたうずのくに南あわじ。それはまさに玉ねぎのようにひと皮むけた、観光への新たな視点でした。

 

おっタマげ!淡路島

http://uzunokuni.com/ottamage/

 

 

吉村 智樹
京都在住の放送作家兼フリーライター。街歩きと路上観察をライフワークとし、街で撮ったヘンな看板などを集めた関西版VOW三部作(宝島社)を上梓。新刊は『恐怖電視台』(竹書房)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)。テレビは『LIFE夢のカタチ』(朝日放送)『京都浪漫』(KB京都/BS11)『おとなの秘密基地』(テレビ愛知)に参加。まぐまぐにて「まぬけもの中毒」というメールマガジンをほぼ日刊で発行している(購読無料)。

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