廃線駅舎がなぜ人気の絵画館に? 街を元気にした70代の「ひらめき」

2016.06.22
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北海道にある人口3000人ほどの小さな町、置戸。その町の中心には、鉄道が廃線したために、使われなくなった駅舎がありました。この駅舎をなんとか利用して、町おこしができないかと考えた地元の男性が作り上げたのが「置戸ぽっぽ絵画館」でした。2012年に、寄贈絵画を集めてオープンしたのです。ここを取材したシニアライフアドバイザーの松本すみ子さんは、地方創生にはこのようなシニア世代の思いや知恵を活かさない手はないと話しています。

新駅舎完成1年後に廃線の悲劇。残された駅舎を利用して町おこしを

以前、北海道の池田町と北見市の間には「北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線」が走っていました。その中間地点あたりにある置戸(おけと)町は人口3000人ほどの小さな町。町の中央付近にある立派な建物は置戸駅舎です。

旧置戸駅舎。1階はコミュニティホール、2階はぽっぽ絵画館

旧置戸駅舎。1階はコミュニティホール、2階はぽっぽ絵画館

とはいえ、すでに駅舎としての役目は果たしていません。2005年の新駅舎完成わずか1年後にふるさと銀河線は廃線になってしまったからです。

あまりのことで意気消沈する町民の中に、この旧駅舎を活用して町おこしができないかと、真剣に知恵を絞る細川昭夫さん(73歳)の姿がありました。

細川昭夫さん。寄贈された絵の前で

細川昭夫さん。寄贈された絵の前で

彼が考え出したのは、全国から埋もれた絵を集めて「寄贈絵画館」を作るということ。発想の元は、細川さんがたまたま目にした新聞の投書欄でした。

それは、多くの優れた美術品が人の目に触れずにある現状を憂い、“無名作家のこの1作”といえる作品を集めた美術館は作れないだろうかという切実な提案でした。それを読んだ細川さんの頭に浮かんだのは、置戸の旧駅舎が美術館として息を吹き返す姿

いても立ってもいられなくなり、東京の画家だという投稿者に連絡を取ることに。すると、場所があるのであれば、展示に必要な絵画を寄贈してもいいとの返事がきました。知人の画廊経営者と共にやってきて、旧駅舎を見るなり「こんな立派な建物だとは思わなかった」と、話はとんとん拍子に進んだそうです。

細川さんも仲間を集め、絵画館設立委員会を組織します。そして、旧駅舎を所有する町との交渉に臨みましたが、当初は渋い反応。しかし、粘った結果、町は一切かかわらないという条件で、ついに許可を得たのでした。

努力の甲斐あって、2012年、旧駅舎の2階に「置戸ぽっぽ絵画館」はオープンします。名称の「ぽっぽ」はもちろん鉄道のこと。

絵画展示の様子

絵画展示の様子

最初の展示品は約100枚。なかには日展で入選している人の絵もありました。また、この絵にこの額ではかわいそうと、20万円の額を寄付してくれた人も。画材屋さんは三脚を20台ほど寄贈してくれました。そして、ついに町も、オープン時に必要な旅費などを補正予算から出してくれることになったのです。

今では、この絵画館を目当てに、寄贈する画家さんやその関係者はもちろん、全国から絵画に関心のある人たちが人が訪れます

松本すみ子
シニアライフアドバイザー。2000年から団塊・シニア世代のライフスタイルや動向を調査し、発信中。全国各地の自治体で「地域デビュー講座」の講師なども務める日々。当事者目線を重視しています。 http://www.arias.co.jp/

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